コラム
住宅の断熱性能というと「数値がすべて」というイメージを持たれがちです。しかし、実際には設計や施工、さらに住まい方まで含めた総合的なアプローチが欠かせません。今回ご紹介するのは、当社の体感型ショールームを事例とした、「UA値0.6でも真冬の朝に15℃をキープできる理由」です。
最終的には、光熱費の視点から見ても高断熱が有利な点と、数値が高くても設計次第で快適性に差が出るポイントについても触れていきます。ぜひ今後の家づくりの参考にしてみてください。
測定日:2025年2月26日水曜日 AM9:00
当日の外気温:8.8℃
まずはショールームでの実測データをご紹介します。夜21時に床暖房(温水式)をオフにし、外気温が8.8℃という真冬のコンディション下でも、翌朝の室温は15℃前後を保っていました。
「UA値0.6の家」というと、今どきの“超高断熱住宅”とまではいかない数値かもしれませんが、丁寧な施工と計画的な設計を組み合わせることで、これだけの暖かさを実現しています。
ショールームのUA値は0.6ですが、その数値を活かすためには断熱材の選定・配置、そして施工精度が欠かせません。
このように設計と施工を吟味すれば、UA値0.6程度でも十分に暖かい住まいを実現できます。
次に重要なのが窓の設計です。冬場は特に、日射取得が快適性に大きく寄与します。
東面の木製サッシ
南西面の吹き抜けの窓
これにより、真冬の晴れた朝でも太陽光による熱がしっかり室温をサポートしてくれます。日射を適切に取り入れる設計を行うことで、暖房負荷を軽減しながらも温もりを感じやすい居住環境をつくることができます。
いかに断熱材を厚くしようと、気密が甘ければ暖気は外に逃げていきます。そこで鍵を握るのがC値(相当隙間面積)です。
気密性能が高いほど、暖房を切っても室内に熱が留まりやすく、翌朝まで快適な温度を保ちやすくなります。
ここまでで、「UA値0.6程度でも十分暖かく暮らせるのでは?」と思われるかもしれません。確かに、今回のショールームは日射取得や気密施工、基礎断熱などを総合的に組み合わせることで、真冬でも快適性を実現しています。
しかし、一方で「UA値だけ高くても、気密性が低い」「日射取得・遮蔽計画が甘い」などの問題があると、実際の暮らしでは快適性を損ないかねません。
このように、数値だけを追求するのではなく、設計や施工の精度といったトータルバランスこそが、住宅性能を最大限活かすカギなのです。
では、「UA値0.6程度で十分暖かいなら、これ以上の高断熱は必要ないのでは?」と疑問を持つ方もいるかもしれません。ここで注目したいのが、長期的な光熱費です。
もちろん、初期投資が増えるというデメリットもありますが、月々のランニングコストと将来的なエネルギー価格の動向を考慮すれば、より高断熱にシフトする価値は十分にあるでしょう。
住宅性能を論じるうえで、UA値やC値といった数値は確かに重要な指標です。しかし、本当に大切なのは、それらの数値が設計や施工、そして住まい方と合わさってどのような居住環境をもたらすかという点です。
当社のショールームの例を見ても、UA値0.6というスペックを丁寧な施工と日射取得計画、気密確保で支えれば、真冬でも快適性を確保できることがおわかりいただけると思います。とはいえ、より高い断熱性能を追求することで光熱費の削減につながるのも事実ですので、家づくりの際は両方の観点をバランスよく考えてみてください。
ご興味を持たれた方は、お気軽にお問い合わせください。実際に現地で温熱環境を体感いただくと、数値だけではわからない「快適さ」をご自身の肌で確かめられるはずです。家づくりの一助になれば幸いです。
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